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労基署の呼び出しは無視できない?労基署の調査について

労基署の呼び出しは無視できない?労基署の調査について

「労働基準監督署から連絡があったけど、無視してはいけないの?」

このようなご質問を頂くことが少なくありません。

労働基準監督署は、事業場に対して違反をしていないか調査し、調査に基づいて行政指導を行います。

悪質な場合によっては犯罪捜査を行う権限まで持っています。

そのため、調査には従わねばならないのです。

ここでは、労働基準監督署からの呼び出しについて詳しくお伝えし、調査の内容や日ごろから取り組んでおくべきことについてお教えいたします。

呼び出しを無視できない理由

労働基準法120条には、労働基準監督官の臨検を拒んだり、尋問に対して陳述しなかったり、帳簿書類の提出しなかったような場合には、罰金の罰則を処すると定められています。

また、労働基準監督署の労働基準監督官には、下記に掲げている通り、さまざまな調査を行うことができます。

労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。
※参考:労働基準法 第101条1項

「臨検」して、帳簿や書類の提出を求めたり、使用者や労働者に対して尋問を行うことができる強い権限を持っているのです。

そのため、労働基準監督署の呼び出しを無視することはできず、従わない場合には労働基準法によって処罰されてしまう可能性があるので注意が必要です。

「臨検」とは

「臨検」とは4種類に分けることができます。

● 定期監督:計画的な監督指導。
● 申告監督:労働者からの申告によって行われる監督。
● 災害時監督:重篤な労働災害について原因究明や再発防止の観点から行われる監督指導。
● 再監督:監督指導後に確認のために行われる監督指導。

「定期監督」とは、労働基準監督署が行う一般的な調査で、監督計画に基づいて任意に調査対象を選択して行う監督指導です。

事前に電話や書面によって通知されることが多いですが、突然事業場に訪問されるようなこともあります。

「申告監督」とは、事業場で就労する労働者から個別に相談や申告があった内容に対して行われる調査のことを指しています。

「災害時監督」とは、一定以上の重篤な労働災害が発生した場合に、状況を把握して原因究明することや、再発防止を主眼にして行われる監督指導のことを言います。

「再監督」とは、監督指導において是正勧告を受けた場合に、きちんと是正されているのかどうか、確認のために行われる監督指導です。

呼び出されたらするべきこと

労働基準監督署から臨検の召喚状など呼び出しが届いた場合には、従業員の勤務状況や就労現場の安全衛生管理対策の状況などを確認されることになります。

上記でお伝えした通り、労働基準監督署から呼び出されに応じず無視してしまうと、罰則を受ける可能性があり、また事業場の心象も悪くなることから得策ではありません。

労働基準監督署からの呼び出しへの対応

労働基準監督署からの呼び出しでは役員や管理職などが事情聴取を受けることになり、供述した内容は調書に記録されることになります。

そのため、賃金台帳やタイムカード、給与明細書、就業規則などを基にして具体的な説明が求められます。

また、事前に資料の開示を求められるようなこともありますので、そのような場合には事前に準備しておく必要があります。

ただし仮に、すぐに対応できるような体制が整っていないとしても慌てる必要はありません。

あるもの、ないものを誠実に答えるようにし、不備がある部分に対しては指導内容に沿って是正すれば問題ありません。

虚偽を報告した場合には、送検されてしまう可能性もあることから、丁寧に対応することが求められています。

臨検を行った結果~「是正勧告」とは

臨検を行った結果、労働基準法や労働安全衛生法などの違反に対して「是正勧告」が行われます。

「是正勧告」ではその内容を文書で交付して勧告されます。

事業場はその内容に沿って是正を行い、提出期限までに是正報告書を提出することになります。

是正勧告は行政処分ではなく行政指導ですから、従わねばならないといった法的な義務はありません。

しかし、従わない場合には企業名が公表されるなど社会的制裁を受けることになり、場合によっては送検されてしまうようなこともあるために注意が必要です。

特に「賃金未払い」のケースが極めて多くみられ、未払い分の賃金を支払うように指導されることになります。

未払い分の賃金を支払う訴求期間が指導されることになりますが、3か月や6か月、中には2年の指導がなされるようなケースもあります。

指導された訴求支払期間に応じて労働者の労働時間数を調べ、退職者も対象にして未払い金の支給が必要となります。

呼び出されないように日ごろからすべきこと

● 就業規則の整備や周知
● 労務管理や勤怠管理
● 有給休暇の付与や取得状況の確認

労働基準監督署から呼び出されないようにするために、また呼び出されても困らないようにするには、上記で掲げた内容にしっかりと取り組んでおく必要があります。

是正勧告での内容はおおむね共通していますので、どのような取り組みが必要になるのかご説明いたしましょう。

就業規則の整備や周知

「就業規則」は、従業員が10名以上の事業場において必要とされているもので、労働基準監督署に提出しなければなりません。

指導される内容としては、「記載事項の漏れ」「従業員に周知されていない」「変更したにもかかわらず変更内容を届けられていない」などといったものが多く見受けられます。

就業規則の対象は正社員だけではなく、パートやアルバイト、出向している職員、休職中の職員も含んでいます。

そのため、記載事項についてしっかりと確認しておく必要があり、また就業規則を常に確認できる状態にしておくなど、周知を徹底することが必要です。

労務管理や勤怠管理

労働基準法においては原則的に、1日8時間、週40時間以上の労働は認められておらず、これを超える場合には36協定を締結しておく必要があります。

36協定とは労使間で締結する協定であり、時間外労働や休日出勤が可能となるものです。

ただし無制限ではなく、通常は、年間360時間以内、月45時間以内で、特別に許定を結べば、年間720時間以内、6か月平均80時間以内と定められており、上限を超えているような協定は結べないことになります。

また上記でもお伝えした通り、未払い残業代についての是正勧告はとても多く、サービス残業はその対象となりますので、日ごろから労務管理や勤怠管理をしっかりと取り組むことが必要です。

有給休暇の付与や取得状況の確認

労働基準法では入社後6か月を経過すれば、8割以上の出勤実績によって有給休暇を与えなければなりません。

しかし、そもそも有給休暇を与えていなかったり、取得を認めていないケースが多く見受けられます。

有給休暇は労働基準法が定める通りの日数を付与する必要があり、社員と比べて勤務日数が少ないパート・アルバイトに対しても、勤務日数に応じて、与えなければなりません。

また、有給休暇の取得を認めていないケースで、合理的な理由なく拒否しているような場合であれば、罰則を受けることにも繋がりますから注意しましょう。

まとめ~不安な方は社労士に一度相談してみては?

労働基準監督署からの呼び出しに関する内容を詳しくお伝えしました。

労働基準監督署の監督官は、事業場に対して調査を行う権限を持っており、調査に必要な帳簿・書類の提出を求めることや尋問を行うことができるのです。

仮に、労働基準監督官の臨検を拒んだり、尋問に対して陳述しなかったり、帳簿書類の提出に応じない場合には、罰金の罰則を受ける可能性があります。

そのため、呼び出しを無視することはできないと考えておかねばなりません。

しかし、実際に呼び出しを受けた場合には、どのように対処すればいいか、罰則を受けるようなことはないかのか、不安に感じるのではないでしょうか。

また、日ごろから取り組んでおくべきことにおいても、労働関係の専門知識が必要となり、対処に困ることも多いと思います。

そのため、安心して事業に取り組むためには、労働問題に精通した社労士に相談することをおすすめします。

こうべみなと社労士オフィスでは、企業の労働問題に特化してサポートを行っております。

まずは、当事務所にお気軽にご相談ください。

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