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社内でパワハラが発覚したら?まず行うべき応急処置を解説!

社内でパワハラが発覚したら?まず行うべき応急処置を解説!

ハラスメントはかねてより大きな社会問題として取り沙汰されていますが、もしかしたら身近な存在として認識していない人も多いかもしれません。特に企業の経営者や人事担当者などは自社や従業員への信頼が厚いあまりに、ハラスメントをどこか遠い話と思ってしまうこともあるかもしれないですが、その考え方が増長していつの間にか「うちの会社ではハラスメントが起きるなんてありえない」という思想に至ってしまうこともあるでしょう。

「絶対に起きるはずがない」と思っていると、もし実際に起きてしまったとき、受け入れるまでに時間がかかってしまうことも多いです。しかしハラスメントが起きたときに一番大事なのは、早急に対応ができるかどうか。素早い受理と判断、対応がその後の従業員の未来、ひいては自社の未来を守ることにもつながるので、まずはハラスメントの知識を深めて予防・対策案を講じておくようにしましょう。

ハラスメントとは

ストレス

ハラスメントとは、簡単にいってしまえば、相手に不快感や不利益を与えたり、尊厳を傷つけたりするような行為のこと。広義には「人権侵害」を意味するとされており、人種やセクシュアリティ、身体的特徴、年齢、職業、宗教、その他多くの、人となりを築く属性や要素などをきっかけに、その人の人格そのものを否定するような言動、態度を指すことが多いです。

今や多くのハラスメントが「○○ハラ」と名称づけられることで表面化し、問題視され始めていますが(とはいえ、場合によってはなんでもかんでも「ハラスメントだ」と騒ぎ立てることも、人の自由を制限させることにつながりかねません。なお、それを「ハラスメントハラスメント」と呼びます)、中でも特に職場においても深刻な問題だといわれている3大ハラスメントが「パワハラ(パワーハラスメント)」、「セクハラ(セクシュアルハラスメント)」、「モラハラ(モラルハラスメント)」です。

セクハラは「性的嫌がらせ」のこと。相手が不快に感じるような性的な言動、行為すべてを指します。もちろん、男性から女性、女性から男性だけではなく、トランスジェンダーなどあらゆるジェンダー間や同性間でも生じます。

そしてモラハラは「モラル(道徳)による精神的な嫌がらせ」のこと。具体的には相手を無視したり、暴言を吐いたり、けなしたり、馬鹿にしたりすることで、傷つけたり、人格を否定するようなことといえるでしょう。

実はこの2つは、状況によってはパワハラに含まれることもあります。パワハラとは立場を利用した嫌がらせのこと。そのため、セクハラやモラハラの加害者が、被害者よりも優位性や社会的地位を持った人物であればパワハラとも見なされるのです。

パワハラとは

パワハラ

前述のとおり、パワハラとはその組織やコミュニティ内において、優位性や社会的地位を利用して行われる嫌がらせのこと。職場の場合は、上司や先輩から業務の範疇を超えた精神的、肉体的な苦痛を与えられることを指すことが多いでしょう。

ですが、「パワハラ=上司・部下、先輩・後輩間だけで行われる行為」とは限りません。職場における優位性とは、そういった組織内の上下関係だけではなく、年齢や社歴、スキルや専門知識、経験値などの差によって生まれることもあるので、場合によっては部下から上司に行われることもありえるのです。

働き方の多様化が広がり、毎日すべての従業員が同じ時間帯に同じ場所で業務を行うという環境ばかりではなくなってきたこともあり、経営者でさえも区別なくフラットな関係性を築くという風土の企業も増えてきました。ただ、そればかりがいいことというわけではありません。前述したようなスキルや専門知識などを豊富に持った人をリーダーに構え、あえて上下関係を作ることで円滑に進行できる業務もあるからです。

あくまでも問題なのは上下関係を築くことではなく、その立場を利用して、相手が拒んだり意見を言ったりできない状況で嫌がらせを行うこと。

パワハラについては年々増加傾向にあることから、新たに通称「パワハラ防止法」と呼ばれる「改正労働施策総合推進法」が制定されました。大企業においては2020年6月1日より、中小企業においては2022年4月1日より施行されます。パワハラを防止するための措置を取ることが雇用主に義務づけられるため、これまで以上にパワハラ発覚時の企業のイメージダウンは大きくなることが予想できます。

パワハラの種類

一般的に、パワハラは以下の5種類に分けられています。

身体的攻撃

身体的攻撃

その名のとおり、身体に危害を加えるパワハラのこと。たとえば、相手を殴ったり、蹴ったり、物をぶつけたり、といった暴力行為はもちろん、座ってできる業務を理由なく立ったまま行わせる、個室に閉じ込める、というような身体的な制限を与えることも当てはまります。

精神的攻撃

精神的攻撃

こちらもその名のとおり、精神的に危害を加えるパワハラのことを指します。相手を無視したり、ばかにしたり、罵ったり、といった行為が当てはまりますが、本人のことだけでなく「お前と仲良くする○○は頭がおかしい」「ろくな親じゃないからまともな教育を受けられなかったんだ」など、周りの人のことを貶めることでその人を侮辱するケースもあります。一種のモラハラといってもよいでしょう。

人間関係の切り離し

人間関係の切り離し

職場において人間関係を切り離そうとするのもパワハラの一種といえます。ほかの従業員から離れた席で仕事をさせたり、忘年会や送別会などの飲み会に意図的に呼ばなかったり、仲間外れのような行為が該当します。会社とは業務を行うだけの場所だと認識している人はそういないでしょう。多くの人を内包した職場でコミュニケーションを断たれてしまえば、相手を精神的に追いつめることになるのは、だれしも想像できることではないでしょうか。

過大・過小な要求

過大な要求

相手の能力に見合わない質や量の業務を押しつける行為は、それが多かれ少なかれハラスメントになりえます。たとえば、入社して間もない従業員に裁量させる、あからさまに過度な労働時間を要する量の業務を任せる、といった場合は「過大な要求」といえ、逆に裁量権を持った従業員がいるにもかかわらず、ほかの(裁量権を持っていない)者に任せる、なにも案件を抱えていないのを知りながら業務を与えない、といった場合は「過小な要求」といえます。

過大な要求を受け続けると過労で肉体的、精神的に追いつめられるかもしれませんし、過小な要求は自尊心を失わせることにつながるかもしれません。本人の実力に見合わない量や質の業務は、どちらにせよストレスになりえるものなのです。

個の侵害

個の侵害

「個の侵害」とはつまり、業務を超えた干渉、プライバシーの侵害などを指します。具体的には、飲み会に強制的に参加させたり、休日にみだりに呼び出したり、といったことが挙げられるでしょう。セクシュアリティに関することやパートナー、パートナーとの生活についてむやみに尋ねる、揶揄する、といった言動、行為に関しては「セクハラ」に見なされることもあります。

パワハラの対処法

カウンセリング

では実際にパワハラが起きたとき、従業員からハラスメント被害を相談されたときにどう対応すればよいのでしょう?

証拠を提出してもらう

まだパワハラと断定できない段階では、まず証拠を集めてもらうようにしましょう。被害者から相談を受けた場合も、本人が不快感を抱えておらず、嫌がらせを受けているのか偶然なのか判断に悩んでいるという場合は(このときのヒアリングはかなり難しいです。被害者の意見をしっかり汲み取ってください)、いつ・どこで・だれに・どういった内容のことを・どれくらいの間受けたのか、そして、どう思い・どうしたのか、という情報が得られるような記録を残してもらいます。

ボイスレコーダー、撮影動画、写真、メール、日記、メモ、第三者の証言、病院にかかった場合はその診断書など。こういった証拠は、今後実際にハラスメントに発展した際の判断材料になるだけでなく、外部の機関に相談する際にも役立ちます。最初の相談時から進展があるようであれば、このときの相談内容も証拠のひとつになるため、本人の了承を得て録音しておきましょう。

このとき注意すべきなのは、ハラスメント問題においては、あっという間に火種が大火事になっていることも多いので、スピード感をもった対応を優先すること。相談者が進捗の報告をしてこないときなどは、待つのではなく積極的に状況確認を行ってください。

相談内容を受け入れる

それまでハラスメント問題を抱えたことがない企業がやってしまいがちな対処は「様子を見る」ということ。パワハラは特に、職場内において優位性を持った立場の人が加害者になるため、そちらにばかり気を配ってしまい、「すぐに注意をすることは失礼にあたる」→「そもそも本当にパワハラがあったのか信じられない」→「被害者の考えすぎなのではないか」という発想に至ることがあるのです。

被害者、もしくは現場を目撃した従業員から相談された場合、なにかしらの対応をしてくれることを期待し、信頼して話してくれたと考えた方がいいでしょう。それを無下にしてしまっては、事態が悪化するばかりではなく、相談者の企業への不信感が募ることにもつながり、そこで働くモチベーションの低下、自主退職といった結果を生むことにもなりかねません。

情報を集める

被害者や相談者にばかり証拠を集めてもらうのではなく、企業側も積極的に情報を集めましょう。被害者や加害者の周りの人に証言をもらったり、ハラスメントが起きる時間帯や場所がある程度決まっているようであれば自身で確認してみたり、加害者に最近ストレスを抱えていることはないか面談してみたりするなど。。

このとき、被害者から相談があったことやハラスメント解決に向けて活動していることは伏せた方が賢明です。加害者に知られて逆上する可能性や、他者に知られることで被害者自身も居心地が悪くなることがあるからです。休憩中などにそれとなく尋ねてみたり、カムフラージュで全従業員に面談を行ったりして事態が悪化するのは避けてください。

また、過大な要求が行われている場合、残業代がきちんと支払われていないこともあるので、その確認もするようにしましょう。早めに退勤打刻をして残業時間自体を実際の勤務時間より短くしていることも考えられるので、その部分も漏れのないように確認してください。

プライバシーを保護する

ハラスメントはデリケートな問題なので、自分が話したことが広まってしまうということを恐れて相談できない人もいます。被害者はもちろんですが、相談者、相談内容の秘密保持も必ず厳守するようにしましょう。もし漏れてしまったときも、絶対的に被害者や相談者が不当な扱いを受けることのないように細心の注意を払って守り抜くことが大事です。

まだ相談窓口をきちんと設置していない企業も多いですが、だれでも匿名で相談できる場所は必ず設けてください。そうしないと、実際にパワハラが起きた際に適切な対応をすることも、原因を追究して未然に防ぐこともできません。

なお、小規模の企業の場合、総務職と兼務することも少なくないですが、できれば事業と関わりのない(パワハラの加害者が目上の立場の人でも適切な対応ができる)カウンセラーなどを雇用した方がベターです。

「解決する」ことを最優先させる

問題の解決

パワハラを解決するには、情報を精査し、対象者の立場や状況、環境を加味した上で適した対策を行うほかありません。ですが、起きてしまってから対応するのでは後手になってしまいがちです。前述しましたが、パワハラはスピード感をもった対応が一番。常に「ハラスメントは起きるかもしれない」と思って対応に臨むといいでしょう。ハラスメントをなくすためにハラスメントがあることを意識するのは違和感があるかもしれませんが。

また、社内だけで対応できると思わない方がいいでしょう。パワハラはもはや深刻な社会問題。国を挙げて対策に臨んでいるからこそ、「パワハラ防止法」が制定されたのです。とにかく「解決する」ことを最優先し、自社だけではなく社会保険労務士など外部機関への相談も視野に入れて問題と向き合うようにしましょう。

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